エビデンスの紹介

クアオルト健康ウオーキングと血圧の関係

ドイツのクアオルト(療養地・健康保養地)では、自然の要素を活用する治療法があり、心筋梗塞や狭心症のリハビリ、高血圧などの治療に利用されています。医科学的なエビデンスに基づくこの療法がクアオルト健康ウオーキングの基となっており、ドイツでは、公的医療保険が適用されるウオーキングです。

日本では、日本循環器学会の英文誌『サーキュレーション・レポート』に掲載(2021年10月)された実証研究(※)がある。岐阜市のクアオルト事業で健康効果を調査、クアオルト健康ウオーキング実施後の血圧は高い人ほど適正に降下し、気分が向上すると発表しました。注目すべきは医療との連携で、既に岐阜市では、医師の薦めで心疾患患者が健康づくりに同ウオーキングを活用しています。

※ 岐阜心臓リハビリテーションネットワークの研究者や医師、岐阜市職員らによるチームが、2020年6月~2021年5月の期間、岐阜市のクアの道®(クアオルト健康ウオーキング専門コース)におけるクアオルト健康ウオーキング参加者454人に血圧測定や精神状態のアンケートを実施。

岐阜市エビデンス調査

Kurort Health Walking Preferentially Decreases Higher Blood Pressure and Improves Mood
Shinya Minatoguchi, MD, PhD; Taro Minagawa, MD, PhD; Kazuhiko Nishigaki, MD, PhD; Shinsuke Ojio, MD, PhD; Shinji Yasuda, MD, PhD; Kaori Osawa, BSc; Munenori Sasaki, BSc; Masashi Ogawa, BSc; Tatehiro Marumo, BSc; Shin Takano, BSc

睡眠の質に関する実証研究

令和5年1月、兵庫県多可町の自然と健康プログラム体験では、モニター参加者の睡眠状態やメンタルヘルスにどのように影響するかを実証研究しました。この保養プログラムは、森のなかで行うクアオルト健康ウオーキング、専門医による睡眠レクチャー、保健師・栄養士による健康相談のほか、ゆらぎ体操やアロマテラピーを組み合わせ、1泊2日の体験です。実証研究では睡眠時の脳波測定、アンケート調査などを経て、短期的には参加者の状態不安を軽減、長期的には日常生活の行動変容につながる気づきを与えることがわかり、結果として、主観的な睡眠の質の改善につながった可能性があることがわかりました。

研究代表者:上田裕文(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究員) 共同研究者:森田えみ(筑波大学国際総合睡眠医科学研究機構)、神林崇(筑波大学国際総合睡眠医科学研究機構)、松原恵理(森林研究・整備機構森林総合研究所)ほか

セロトニン

「太陽の光」と「ほどよい運動」で睡眠の質を改善

疲れない脳にするためには、脳内の物質「メラトニン」(睡眠ホルモン)が重要な役割を果たします。このメラトニンの材料が、同じく脳内の物質「セロトニン」です。つまり、セロトニンを増やすことで、良い睡眠を得ることができるというわけです。セロトニンを増やすには、図のように、「太陽の光」を浴びることや、リズミカルな運動(呼吸する、噛む、歩く)をすることが大切だと言われています。